IT・エンジニア
SESで客先に行きたくないとき|案件ガチャと抜け出し方

朝、客先のビルが見えてくると足が重くなる。そういう状態なら、まず気合いの問題ではありません。多くの場合、現場が合っていないか、SESという働き方の構造そのものが効いています。行きたくない気持ちは無視せず、原因を「人間関係」「案件ガチャ」「スキル不安」のどれなのかに切り分けるところから始めると、打ち手が見えてきます。
この記事の要点
- 「行きたくない」の正体を、人間関係・案件ガチャ・スキル不安に切り分ける
- 案件ガチャはSESの構造(会社間契約・常駐させるほど会社が儲かる)から生まれる。あなたの能力の問題ではない
- まず担当営業か上長へ相談。現場変更は客先調整に時間がかかるので早めに動く
- 会社単位で改善が見込めないなら、自社開発・社内SE・他SESへの転職を見極める
なぜ「客先に行きたくない」のか、理由を切り分ける
「行きたくない」とひとことで言っても、中身はだいたい3種類に分かれます。原因が違えば対処も変わるので、まずここを言葉にしておくと後がラクです。
ひとつは人間関係。常駐先のリーダーと反りが合わない、質問しづらい空気、自社の人間が誰もいない孤独——客先常駐は「給料をくれる会社」と「毎日いる場所」が別という独特の構造で、ここがつらさの温床になります。エンジニアの人間関係の悩みは業務委託特有のパターンがあるので、ITエンジニアの人間関係の悩みも合わせて見ておくと整理しやすいでしょう。
ふたつめが案件ガチャ。やりたい開発と全く違う、保守・運用ばかり、技術が古い、雑用に近い。配属を自分で選べないSESでは、これが日常的に起きます。
みっつめがスキル不安。「この現場についていけないのでは」「自分のスキルが市場で通用するのか」という焦り。これは行きたくない気持ちと地続きで、放っておくと自己評価まで下がっていきます。
あなたの「行きたくない」はどれに近いですか。複数当てはまっても構いません。
案件ガチャはなぜ起きるのか?
案件ガチャとは、ソシャゲのガチャのように、配属される現場を自分でコントロールできず運任せになる状態を指す俗語です。「外れ」を引くと、希望と違う案件で数ヶ月〜年単位を過ごすことになります。
これはあなたの実力不足ではなく、SESの仕組みから来ています。SES契約はエンジニア個人ではなく会社と会社のあいだで結ばれます。だから案件を取ってくるのも、どこへ送るかを決めるのも基本は会社側です。
さらに、SESは従業員を客先に常駐させればさせるほど自社に報酬が入る構造です。極端に言えば、本人の希望にぴったり合っていなくても、空けておくより「とりあえずどこかに参画させる」ほうが会社は儲かります。だから本人の意向が後回しにされやすい。案件ガチャが「実在する」と言われるのは、この構造があるからです。
つまり外れを引いたのは運とタイミングであって、能力の問題と受け取る必要はありません。そう割り切れると、次の一手を冷静に打てます。

今の会社にいながら、まずできる対処は?
結論から言えば、いきなり辞める前に「担当営業か上長への相談」と「案件交渉」を試す価値があります。動くなら早いほどいい。
担当営業・上長に相談する
SES契約は会社間で結ばれているため、現場がつらいからといって客先へ直接「辞めたい」と伝えるのは筋が違います。自社の担当営業か上長を通すのがマナーであり、現実的なルートです。
ここで大事なのが早めに言うこと。退場(現場を抜けること)には客先とのさまざまな調整が必要で、後任の手配や引き継ぎに時間がかかります。「次の更新で」と思っていても、調整が間に合わず延長になることもある。限界が見えてきたら、我慢を重ねる前に相談したほうが選択肢が残ります。
案件交渉・担当営業の変更を求める
相談の中身は具体的に。「Javaの開発をやりたい」「保守ではなく設計に関わりたい」など、希望を言語化して伝えます。SES営業はエンジニアと客先の板挟みになりやすく、本人の希望と違う案件を勧めてくることもある立場なので、こちらが曖昧だと現状維持に流れがちです。
担当営業との相性自体が問題なら、上長に担当変更を相談する手もあります。営業が変わると提案される案件の質が変わることは珍しくありません。
ただし注意したいのは、相談しても希望がほとんど通らない、外れ案件が常態化している、という場合。それは個人の交渉力ではなく、会社の案件の質や方針の問題かもしれません。そこを見極める段階に入ります。
自社開発・社内SEへ移るべきか、どう見極める?
会社を変える判断は、「今の会社で改善が見込めるか」で切り分けます。
次のような状態が続くなら、転職を本格的に検討する材料になります。
- 相談しても外れ案件ばかりで、希望が通った実績がない
- 客先を転々とするだけで、技術が積み上がっている実感がない
- 古い技術・保守運用が中心で、市場価値が上がる気がしない
- 給与や評価が常駐先の単価に左右され、頑張りが反映されにくい
客先常駐そのものが嫌なら、自社開発企業・社内SE・受託開発といった「常駐前提でない」働き方が選択肢になります。自社のプロダクトに継続して関わりたい、チームで腰を据えて作りたい、という人ほど相性がいい方向です。
一方で、SESが全て悪いわけではありません。現場が当たれば最新技術に触れられたり、いろいろな環境を経験できたりする面もある。だから「SESを辞める」ではなく「外れ続ける今の会社・働き方を変える」と捉えると、別のSESや派遣も含めて視野が広がります。
見極めのときは、求人を一人で眺めるより、IT専門の転職エージェントに「客先常駐を避けたい」「自社開発に行きたい」と条件を伝えて出してもらうほうが効率的です。エージェントによって自社開発の求人量や企業との距離感が違うので、ITエンジニア向け転職エージェントの比較で特徴を見比べてから登録先を絞るとよいでしょう。
つらい朝を変えるための、次の一歩
行きたくない気持ちを抱えたまま走り続けると、判断力も下がります。やることは多くありません。
まず、自分の「行きたくない」が人間関係・案件ガチャ・スキル不安のどれかを書き出す。次に、担当営業か上長へ、希望を具体的に伝えて相談する。それでも変わらない、あるいは会社の構造の問題だと感じたら、自社開発や別の働き方を視野に情報収集を始める。
転職するかどうかは、求人を見比べてから決めても遅くありません。動き出しておくこと自体が、つらい現場での「逃げ場がない」感覚をやわらげてくれます。
案件ガチャの「外れ」を引いたのは自分のスキルが低いから?
必ずしもそうではありません。SESは会社間で契約し、常駐させるほど会社に報酬が入る構造のため、本人の希望より会社都合でアサインが決まりやすい仕組みです。配属を自分で選びにくいこと自体が原因なので、外れを能力の問題と決めつける必要はありません。
現場を変えたいとき、客先に直接言ってもいい?
避けたほうがよいとされています。SES契約は会社間で結ばれているため、まず自社の担当営業か上長に相談し、自社を通して客先へ伝えるのが一般的なマナーです。退場には客先との調整や引き継ぎで時間がかかるので、早めに相談するのが現実的です。
担当営業に相談しても希望が通りません。どうすれば?
上長に担当営業の変更を相談する手があります。営業が変わると提案される案件の質が変わることもあります。それでも外れ案件が常態化するなら、個人の交渉力ではなく会社の案件の質や方針の問題が考えられ、転職を検討する材料になります。
客先常駐が嫌なら、どんな働き方を選べばいい?
常駐前提でない自社開発企業・社内SE・受託開発などが選択肢になります。自社のプロダクトに継続して関わりたい人や、チームで腰を据えて開発したい人に向きます。求人量や企業との距離感はエージェントごとに差があるため、IT専門エージェントで条件を伝えて比較するとよいでしょう。