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ITエンジニアの年収のリアル|言語・領域・経験で変わる

ITエンジニアの年収のリアル|言語・領域・経験で変わる

「エンジニアの年収」と一括りにしても、実態はかなりバラけます。同じ「エンジニア」でも、扱う言語、担当する領域、経験年数、役割で数百万円の差が出る。だから「平均◯◯万円」という数字だけ見ても、自分の立ち位置はほとんど見えてきません。ここでは公的統計と求人データを手がかりに、目安と差が生まれる理由、そして上げる方向性を整理します。

まず全体の目安をつかむ

ざっくりした基準として、ITエンジニア全体の平均年収はdodaの調査で469万円(平均年収ランキング)。システムエンジニアに絞ると、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和4年版で515.9万円という数字が出ています。職種をさらに細かく分けると差が広がり、令和5年の同調査ではシステムエンジニア(基盤システム)が約684万円、業務用システムが約557万円。同じSEでも、何を担うかで100万円以上ひらくわけです。

「平均より上か下か」で一喜一憂しすぎないほうがいいでしょう。平均は20代も50代も混ぜた数字なので、年齢を揃えないと意味が薄い。次の章から、差を生む要素を一つずつ見ていきます。

言語・領域で、ここまで動く

使う技術によって提示年収ははっきり変わります。paizaの「プログラミング言語に関する調査(2024年版)」では、求人票記載年収の中央値ベースで、1位Goが711万円、2位TypeScriptが698万円、3位Scalaが680万円。Goは2年連続トップでした。求人が多いのに応募が少ない"穴場"としては、Kotlin・Swift・Goが挙がっています。

領域でも傾向が出ます。インフラエンジニアの平均は調査によって497万〜542万円あたり。一方でAI・機械学習領域は水準が一段高く、求人ボックスのデータで機械学習エンジニアが684万円(2025年6月時点)、東京に限ると751万円という数字も。専門性が深い案件では800万〜1,200万円のレンジに入ることもあります。

ただ、ここで注意したいのは因果の向きです。「Goを書けば年収が上がる」のではなく、「Goやスケーラブルな基盤、機械学習を任せられる企業・ポジションが、もともと高い報酬を出している」という面が大きい。言語は入口の目安であって、年収を決めるのは扱う問題の難しさと希少性のほうです。

プログラミング言語と担当領域ごとに年収レンジが異なることを示すイメージ

経験年数と役割で伸びていく

年齢・経験を重ねると、カーブははっきり上向きます。システムエンジニアの年齢別では、20〜24歳で約377万円だったものが、30〜34歳で約647万円、40〜44歳で約739万円、45〜49歳の約760万円でピーク——という調査結果が出ています。20代後半から30代前半の伸びが一番大きい時期と言えます。

30代以降、年収の上げ方は大きく二手に分かれます。ひとつはマネジメント。チームやプロジェクトを率いる立場になり、責任範囲の広さで報酬が上がる道。もうひとつはスペシャリスト。手を動かし続けて、特定領域(基盤設計、機械学習、セキュリティなど)で替えの効かない人材になる道です。

どちらが正解ということはありません。マネジメントは人と組織が向いている人に、スペシャリストは技術を深掘りし続けたい人に向く。ただ、年収だけを物差しにすると、管理職にならないと頭打ちになる企業も依然として多いのは事実です。「技術職のまま上がれる等級があるか」は、転職時に確認しておきたいポイントになります。

年収を上げる、現実的な方向性

上げ方を整理すると、軸は3つに集約できます。希少性を高める、上流に関わる、転職で相場を取りにいく——です。

希少性は、需要のわりに供給が少ない領域へ寄せること。穴場言語や、AI・基盤・セキュリティのように「できる人が足りていない」場所は、同じ労力でも単価が乗りやすい。上流は、実装だけでなく要件定義・設計・技術選定に踏み込むこと。「作る人」から「何を作るか決める人」に近づくほど、評価される範囲が広がります。

そして転職。同じ会社に留まると、昇給は前年比の積み上げになりがちで、市場相場との差が開いていても気づきにくい。実力に対して年収が見合っていない場合、転職で一気に補正がかかることは珍しくありません。逆に、相場を知らずに「うちはこんなもの」と思い込んだまま据え置かれているケースも多いのが現実です。まずは今の自分がいくらで評価されるのか、外の数字を知るところからでしょう。

未経験から目指す段階の人は、まず入口の選び方が肝心です。最初に入る現場で身につく技術が、その後の年収カーブをかなり左右します。詳しくは未経験からITエンジニアになる道筋で整理しています。

次の一歩

年収を動かしたいなら、順番は「自分の現在地を知る」→「足りない希少性・上流経験を見極める」→「必要なら転職で相場を取る」です。いきなり辞める必要はありません。市場価値の棚卸しは、求人を眺めるだけでもある程度できます。

そのうえで本気で動くなら、エンジニア領域に強い転職エージェントに、今の経験でどのレンジの求人が出ているか聞いてみるのが早い。目的(SES脱出・自社開発・年収アップ)で使うべきサービスは変わるので、ITエンジニアの転職エージェント比較で自分のゴールに合うものを確認してください。数字は人それぞれですが、知っておくだけで判断は変わります。

※本記事の年収はdoda、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和4年・令和5年)、paiza「プログラミング言語に関する調査(2024年版)」、求人ボックス等の公開データを参照しています。調査主体・時期により数値は異なります。