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看護師の給料・年収のリアル|夜勤手当と職場別の違い

看護師の給料・年収のリアル|夜勤手当と職場別の違い

看護師の平均年収は、おおよそ520万円。これが現時点での全国の目安です。ただ「自分もそのくらいもらえるはず」と読むと、たいてい現実とずれます。年収は夜勤の回数、勤め先の種類、経験年数で大きく動くからです。

ここでは公的な統計を起点に、「給料が気になる」あなたが自分の数字をつかめるよう、職場別・経験別に分けて整理します。

平均年収はいくらか、まず数字で押さえる

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(2025年3月公表)では、看護師の年収は約519.7万円。内訳は、毎月の「きまって支給する現金給与額」が約36.4万円、これに年間の賞与約83.5万円が乗る形です。調査対象の平均年齢は41.2歳、平均勤続年数は9.4年でした。

ここで一つ注意。この「月36.4万円」には基本給だけでなく、夜勤手当や残業手当、通勤・住宅手当まで含まれています。つまり、夜勤をこなしている人の数字が混ざった平均です。日勤だけの働き方をすれば、ここから手当が抜けて下がる——平均年収を語るうえで、これは外せない前提です。

ちなみに全職種の平均年収はおよそ526万円。看護師はそれと近い水準で、世間で言われるほど飛び抜けて高いわけではありません。

夜勤手当が年収をどれだけ動かすか

看護師の給料の話で避けて通れないのが夜勤です。手当が年収に占める比重が、想像以上に大きいからです。

日本看護協会の2024年 病院看護実態調査によると、1回あたりの夜勤手当の全国平均は次のようになっています。

  • 三交代制の準夜勤:約4,154円
  • 三交代制の深夜勤:約5,490円
  • 二交代制の夜勤(16時間前後):約11,286円

仮に二交代で月4〜5回の夜勤に入れば、それだけで月5万円前後、年間にすると50〜60万円が手当として上乗せされる計算になります。逆に言えば、夜勤を外した瞬間にこの分が消える。「日勤のみに変えたら手取りが思ったより減った」という声の正体は、たいていここにあります。

夜勤の負担そのものをどう受け止めるかは、給料とは別に考えたいテーマです。体力面や生活リズムが気になる方は、夜勤がつらい看護師の働き方も合わせてどうぞ。

職場ごとの給料の違いを比べる看護師

職場が変われば、給料も変わる

同じ看護師でも、どこで働くかで給与水準は変わります。賃金構造基本統計調査の設置主体別データを見ると、月給がもっとも高いのは私立学校法人(大学病院など)で約37万円台。日本赤十字社がこれに続き、公立・国立病院は35万円前後と中位に位置します。

大づかみに整理すると、こうなります。

  • 大学病院:基本給と賞与が安定し、教育体制も手厚い。一方で業務量が多く、若手のうちは年収ほど「余裕」を感じにくい場面も。
  • 一般病院(医療法人):施設によって幅が大きい領域。夜勤手当を含めれば平均前後に届きますが、賞与の月数は法人ごとにばらつきます。
  • クリニック・診療所:日勤中心で夜勤がない分、年収は下がりやすい。厚生労働省の第24回医療経済実態調査では、個人診療所の常勤職員の年収は病院勤務より低い水準でした。働きやすさと収入のトレードオフです。
  • 介護施設・老人ホーム:給与水準は中〜下位が中心。ただし夜勤がある施設では手当で補える場合もあります。
  • 訪問看護:事業所により差が大きく、オンコール手当やインセンティブ次第。経験を積んだ人が収入を伸ばしやすい領域でもあります。

「年収を取るか、夜勤のない働きやすさを取るか」。職場選びは、この天秤をどこで止めるかという話に近いです。

経験・役職で給料はどう上がっていくか

看護師の給料は、勤続とともに緩やかに上がっていきます。新卒の初任給は基本給ベースで20万円台前半が多く、そこに夜勤手当が加わって月の総支給が決まります。20代後半から30代にかけて基本給が積み上がり、平均値である40歳前後で500万円台に乗っていく——これが一般的な曲線です。

ただし、勤続年数だけで青天井に伸びるわけではありません。一定の年次で頭打ちになりやすいのも事実です。そこから先を動かすのが、役職と専門性です。主任・看護師長といった役職に就けば管理手当が付きますし、認定看護師・専門看護師の資格を取れば、施設によっては資格手当や配置上の評価につながります。

「同期と同じように働いているのに差がついた」と感じる場面が出てくるとすれば、たいていこの役職と専門性のあたりです。

手取りを増やすために、どこを動かすか

額面ではなく手取りで考えると、打ち手は意外と絞られます。やみくもに転職するより、自分の年収のどこが薄いのかを見極めるのが先です。

  • 夜勤の回数で調整する:手当の比重が大きいので、増減のインパクトが一番わかりやすい。ただし体への負担と引き換えである点は忘れずに。
  • 賞与の月数が手厚い職場を選ぶ:月給が同じでも、賞与4ヶ月と3ヶ月では年間で月給1ヶ月分の差。求人票では基本給だけでなく「賞与○ヶ月」を必ず確認したいところです。
  • 設置主体の水準が高い職場へ移る:大学病院や日赤など、もともとの給与テーブルが高い組織を狙う。
  • 資格・役職で基本給そのものを底上げする:時間はかかりますが、夜勤を減らしても収入を保ちやすい、息の長い方法です。

注意したいのは、提示された月給が高くても、夜勤前提だったり残業込みだったりするケース。「基本給がいくらで、手当がいくらか」まで分解して見ないと、入ってから「思っていた額と違う」となりがちです。

次の一歩として

まずは、直近の給与明細を一度開いてみてください。基本給・夜勤手当・残業・その他手当に分けて書き出すと、自分の年収のどこが厚くてどこが薄いのかが見えてきます。動かせる余地がそこに出てきます。

そのうえで他の職場の条件と比べたくなったら、求人を横断して見られる転職サービスが手早いです。職場ごとの給与レンジや賞与の月数を並べて検討できます。サービスの選び方は看護師向け転職サービスの比較にまとめました。

給料は、運ではなく仕組みで決まっています。仕組みがわかれば、自分の数字をどこから動かせるかも見えてきます。


参考にした主な出典:

  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年3月公表)
  • 公益社団法人 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査 報告書」
  • 厚生労働省「第24回 医療経済実態調査」(2023年)