保育士
保育士資格の取り方|養成校・試験・通信のルート

保育士資格を取るルートは、大きく2つです。ひとつは厚生労働大臣が指定する養成校(大学・短大・専門学校)を卒業して試験なしで取る道、もうひとつは保育士試験に合格する道。学校に2〜4年通えるなら前者、働きながら独学やスケジュール優先で進めたいなら後者、というのがおおまかな分かれ目になります。
どちらが正解という話ではありません。年齢や生活、使える時間によって向き不向きが変わります。ここでは2つのルートの中身と、試験を選んだ場合の受験資格・科目・合格率、そして通信や独学で目指すときの進め方までを順に整理します。
ルート1:養成校を卒業して取る
指定保育士養成施設を卒業すれば、保育士試験を受けずに資格が得られます。これが一番確実なルートです。
養成校とは、こども家庭庁(旧・厚生労働省)が指定した保育士養成のための学校で、4年制大学・2年制の短大・2〜3年制の専門学校などがあります。決められた科目をすべて履修し、保育所と児童福祉施設での実習を終えて卒業すると、国家試験が免除され資格が取得できます。座学だけでなく実習で現場を経験できるのが、この道の強みです。
ただし時間と学費はかかります。短大・専門学校でも2年、大学なら4年。社会人がいまから通い直すには、生活との両立が壁になることも少なくありません。高校卒業時に進路として選べる人や、学び直しにまとまった時間を取れる人に向いた道といえるでしょう。
ルート2:保育士試験に合格して取る
働きながら、あるいは独学で目指すなら、保育士試験のルートになります。年2回(前期・後期)実施され、筆記と実技に分かれています。
学校に通わず取れるのが最大の利点です。費用も養成校より大幅に抑えられます。一方で、後述するとおり合格率は2〜3割程度。試験勉強を自分で管理する必要があり、ここで挫折する人もいます。「通学はできないが、時間をやりくりして勉強する自信はある」という人に合う道です。
保育士試験の受験資格
ここでつまずきやすいのが受験資格です。誰でもすぐ受けられるわけではありません。
基本は「短大卒業程度の学歴」があること。具体的には、大学・短大を卒業した人、大学に2年以上在学して62単位以上を修得した人などが対象になります。学部・学科は問われないため、保育と無関係の大学を出ていても受験できます。
では高卒・中卒の場合はどうか。高校卒業者は、児童福祉施設などで2年以上かつ2,880時間以上の実務経験を積み、都道府県知事の認定を受けると受験資格が得られます(ただし高校を1991年4月以降に卒業した人など条件あり)。中学卒業の場合は、必要な実務経験の時間がさらに長くなります。自分が該当するかは、一般社団法人全国保育士養成協議会の受験資格詳細ページで必ず確認してください。ここを読み違えると、勉強を始めても受験できないという事態になりかねません。

試験科目と合格率
筆記試験は9科目あります。
- 保育原理
- 教育原理
- 社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
各科目で6割以上の得点が合格ラインです。範囲は児童福祉法などの法律から、子どもの病気・栄養まで幅広い。これが「難しい」と言われる理由です。
筆記をすべて通過すると、実技試験に進みます。実技は「音楽」「造形」「言語」の3分野から2つを選択し、いずれも6割以上で合格です。音楽はピアノやギターでの弾き歌い、造形は保育の一場面を色鉛筆で描く絵画、言語は子どもへの素話、といった内容になります。
合格率は例年20〜30%程度で推移しており、全国保育士養成協議会の公表によると、令和6年度(2024年度)は約26.3%でした。低く見えますが、合格した筆記科目は3年間有効で、不合格の科目だけを翌年以降に再受験できます。つまり一度で全科目そろえなくても、複数年かけて積み上げられる仕組みです。この科目合格制度をうまく使うのが、社会人にとって現実的な攻め方になります。
通信・独学での進め方
働きながら試験合格を目指す人の多くが、通信講座か独学を選びます。
独学は費用を最も抑えられる方法です。市販のテキストと過去問題を中心に進めます。過去問は全国保育士養成協議会の公式サイトで公開されているので、まずは出題の傾向と自分の苦手分野をつかむところから始めるとよいでしょう。ただし9科目を独力で管理しきるのは負担が大きく、法改正への対応も自分で追う必要があります。
通信講座は、ユーキャンや四谷学院などが保育士向けの講座を提供しています。テキストや添削、スケジュール管理がセットになっており、独学より費用はかかるものの、何から手をつければいいか迷いにくいのが利点です。実技対策の教材や、ピアノ・造形のアドバイスを含む講座もあります。「独学だと続かなそう」という自覚がある人は、こちらを検討する価値があります。
どちらを選ぶにせよ、科目合格制度を前提に「今年はこの科目、来年はこの科目」と無理のない計画を立てるのが、社会人が走り切るコツです。
働きながら取るという選択肢
実は、保育の現場で働きながら資格を目指す道もあります。
無資格でも、保育補助という形で保育園で働くことは可能です。実際の現場を知りながら勉強でき、収入を得ながら受験を待てます。高卒で受験資格に実務経験が必要な人にとっては、この経験が受験資格そのものにつながる場合もあります。
無資格・保育補助での働き方や、派遣という形で現場に入る方法は、別記事で詳しく整理しています。資格取得後の働き方を具体的にイメージしておくと、勉強のモチベーションも保ちやすくなります。
次の一歩
まずやるべきは、自分の受験資格の確認です。養成校に通えるのか、試験ルートなら受験資格を満たしているのか。ここがはっきりしないと、勉強の計画も立てられません。
試験ルートで進めると決めたら、独学か通信講座かを選び、年間スケジュールに科目を割り振ります。最新の試験日程・受験料・受験資格は年度ごとに更新されるため、出願前には必ず全国保育士養成協議会の公式情報で最終確認をしてください。制度や数値は変わることがあります。早めに動き出した分だけ、合格は近づきます。