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保育士の持ち帰り仕事がつらいとき、働き方を変えるには

保育士の持ち帰り仕事がつらいとき、働き方を変えるには

持ち帰り仕事は、あなたの段取りが悪いから生まれているわけではありません。製作物や書類、行事の準備が勤務時間内に終わらない構造そのものに原因があります。だから「もっと早く片づけよう」と自分を追い込んでも、根本は変わりにくい。まずは持ち帰りがなぜ生まれるのかを切り分けて、今できる対処と、園そのものを変える選択肢の両方を見ていきます。

持ち帰りは「あなたのせい」ではなく構造の問題

子どもと向き合う時間と、製作物や書類を作る時間。この二つが同じ勤務時間の中に押し込められているのが、多くの保育現場の実態です。日中はクラスを離れられないので、壁面装飾の準備や連絡帳の記入、指導計画や児童票の作成は、子どもが帰ったあとか、結局は自宅に持ち帰ることになります。

行事の前はさらに偏ります。発表会の衣装、運動会の小道具、卒園アルバム。こうした準備が特定の時期に集中して、通常業務に上乗せされる。人手が足りない園では「誰かが抜けると保育が回らない」ため、書類のための時間を勤務中に確保できず、持ち帰りが常態化していきます。

配置基準そのものが余裕のない設計だったことも背景にあります。4・5歳児の基準は制度発足から長く30人につき保育士1人のままでしたが、2024年度に25人につき1人へと改善され、加算措置も設けられました(こども家庭庁)。改善は進んでいるものの、経過措置として従来の基準で運営する園も当分の間は認められています。つまり、同じ「保育士」でも園によって一人あたりの負担はかなり違う、ということです。

今の園で、まず試せること

園を変える前に、手元でできることもあります。すべてが解決するわけではありませんが、持ち帰りの量を減らせる余地はあります。

製作物は「手作りでなければいけない」という思い込みを一度疑ってみてください。市販の型紙やテンプレートを使う、装飾を作り込みすぎない、過年度のものを使い回す。園の文化として許されるなら、ここでかなり時間が浮きます。

書類は、空き時間に少しずつ進める癖をつけると締め切り前の山が小さくなります。連絡帳や日誌をその場で一言だけでも書いておく。完璧な文章を後でまとめて書こうとするより、断片を積み上げるほうが結局は速いことが多いです。

そして、持ち帰りの量と頻度を記録しておくこと。「先週は3日、合計4時間ほど自宅で製作をした」と具体的に書き出すと、自分の状況が客観的に見えますし、主任や園長に相談するときの材料にもなります。サービス残業が常態化しているなら、それは本来あってはならない状態だという前提で、まず声に出してみる価値はあります。

持ち帰りの少ない園は、ここが違う

それでも変わらないなら、園そのものを見直す段階です。持ち帰りが少ない園には、いくつか共通する特徴があります。求人を見るときや面接で確認するときの軸として使えます。

ひとつはICTの導入状況。国は「保育所等におけるICT化推進等事業」として補助金を設け、指導計画や記録、登降園管理、保護者連絡などをシステム化する園を後押ししています(こども家庭庁)。手書きの児童票や紙の連絡帳に比べ、入力や共有の手間が減るため、書類にかかる時間そのものが変わってきます。面接で「記録や指導計画はどう管理していますか」と聞けば、導入の有無が見えます。

もうひとつがノンコンタクトタイム。勤務時間中に一時的に子どもから離れ、書類や教材の作成にあてる時間のことです(東京新聞 東京すくすく)。これが制度として組み込まれている園なら、書類を勤務時間内に終えられる前提があるので、持ち帰りが減ります。ただし、誰かが抜けるぶん保育に入る人手が必要になるため、実現できているのは余裕のある園に限られるのも事実です。だからこそ、これがある園は貴重だと言えます。

残業の扱いも見ておきたいところです。残業時間がきちんと記録され、申請すれば手当が出るのか。それとも「みんなやっているから」とサービス残業が前提になっているのか。ここは園の体質が出る部分なので、口コミや面接での反応から探る価値があります。

派遣・転職という選択肢

園の見極めをしても、今いる職場が当面変わりそうにないなら、働く場所を変えるのも現実的な手です。選び方によって、持ち帰りやサービス残業との距離はずいぶん変わります。

正社員として持ち帰りの少ない園に移るのが本筋ですが、その前にいったん負担を軽くしたいなら、派遣という働き方もあります。派遣は担当する業務の範囲が契約で決まっていることが多く、行事の主担当や持ち帰り前提の書類作業から距離を置きやすい。残業や持ち帰りを避けたいという希望を、登録時に派遣会社へ伝えておける点も大きいです。詳しくは保育士の派遣という働き方で整理しています。

正社員での転職を考えるなら、ICTの導入状況やノンコンタクトタイムの有無、残業の実態といった、外からは見えにくい情報を集めることが鍵になります。こうした内部事情は、保育士向けの転職エージェントが園ごとに把握していることがあり、求人票だけではわからない働き方の実態を聞ける場合があります。エージェントの選び方や特徴は保育士向け転職エージェントの比較にまとめました。

次の一歩

つらいと感じている今の状態を、ずっと続ける必要はありません。まずは持ち帰りの量を記録して、自分の負担を見える形にすること。そのうえで、今の園で改善を相談するのか、ICTやノンコンタクトタイムのある園を探すのか、いったん派遣で負担を下げるのか。選択肢は一つではありません。

情報を集めるだけなら、求人を眺めたりエージェントに登録したりしても、すぐ転職する義務は生じません。今の環境を客観的に測る材料として、外の選択肢を知っておく。それが、持ち帰りに追われる毎日から距離を置く最初の動きになります。